歴史にたらればはない。(書評:永遠のゼロ)

永遠の0 (講談社文庫)
 
書籍を読む際は、バイアスがかかるのを避けるために他の方の感想などを事前に聞かないようにするクセに、自分の感想はなんだか残しておきたくなります。また、思考レンジをあんまり狭めたくないので、読書前から読書に大してゴールや目的を持ったりもしないクセに、自分なりの学びはこうして残し、整理しておきたくなります。(学びたいことは無限と拡げているのに、学ぶことは意外とシンプルで狭い。)

自分のインプットするときの行動とアウトプットするのときの行動は真逆です・・・。
 
 
前置き長くなりましたが、2013年の一冊目は永遠の0(ゼロ)を読んでみました。
 
多くの箇所で感動できる、とても良い作品でした。
ストーリーや、著者の歴史観へのバイアスが強い部分などには違和感を覚えたものの、全体として、とても良い物語でした。心底、感動しました。。。(歴史小説に対して情報感度がまったく高くないため、今日まで、この本自体を知らなかったのですが。。)
 
で、その中でも特に、P.113の「歴史にたらればはない。」という表現に、
この小説のストーリーから出てくるゆえんか、深みを感じました。
 
 

 

歴史にたらればはない

これは、要するに、過去は変えられないという話しに近いと思うのですが、
この本から、こういう表現が出てくることに大きな深みを感じました。

歴史にタラレバはありません。あの戦い(※ミッドウェー海戦)も運が悪かったわけではありません。やろうと思えば、もっと早くに発進できたはずなのです。陸上用の爆弾でも何でも、先に的空母をたたいてしまえば良かったのです。それをしなかったのは驕りです。 〜中略〜 日本側はこの戦いでなけなしの空母四隻を沈められました。
出典:永遠の0(ゼロ)

 
本書は、太平洋戦争の神風特攻隊(零戦搭乗員)についての小説であり、
その当時の日本の状態や、軍人たちの思いまでを、細かく描写した作品です。
特攻で亡くなった祖父の歴史を追う、そんなお話が続きます。
 
この、「歴史にたらればはない」という表現ですが、
当時の軍人には、言い訳をするタイミング自体がありません。
なぜなら、言い訳をするタイミングの多くは負けている状態、
つまり、戦争で言えば、死んでしまっているのですね。
 
ここに、私たちと彼らとの、
圧倒的な気概や、本気度の圧倒的な違い、差を感じました。
当たり前と言えばそれまででですが、本当に、同世代の若者なのかと、強く感銘を受けたのです。
 
環境があまりにも違うので、なかなか私たちにその思いを置き換えるというのも難しい話しですが、
「あと一週間あれば、結果は違ったかもしれない。」
「あの時こうしていれば、計画通りに達成できたかもしれない。」
「総理大臣が○○だったら、今の生活はこうはならなかったはずだ」
 
などとは、意外とよく思ってしまうものですし、会話にも出てきます。
しかし、やっぱりまぁ、全然ダメです。原因を外においているだけなので、
それだけでは、きっと勝てないですし、また同じ過ちを繰り返します。
 
また、その当時の軍人がそのようなことを言ったら、どうでしょうか?
そう、彼らはそのとき既に、死亡している可能性が高いのです。
これはなんとも、想像を絶する緊張の中、戦っていたことがうかがえます。
しかし、両親、妻子などは、現代と同じように、皆が抱えているのです。
 
 
孫社長、柳井社長、永守社長、稲森社長などなど、
圧倒的に大きな成功を収めてきた方と、同じような意思や空気感が、
物語の兵士から、感じられたのですね。
 
 

ポジティブに生きる、失敗しても死ぬことはない。

もし、チョキを出してじゃんけんに負けた人が、
「パーを出していたら勝てたのに」と言っていたら何も始まらないので、
その人の癖や戦術を見抜き、次はこれを出してやろう。くらいのほうが良いものです。
 
1秒前の結果ですら、もうそれは過去なので、歴史にたらればはありません。
 
しかし、これが幸いなことに、私たちは、「たられば」から課題を発見することができ、
未来を変えることはできます。少なくとも、死なないからです。
  
だからこそ、「たられば言い訳」などと無駄な労力は割かないで、
ひたすらに「たられば改善」を繰り返し、とにかく前に進んでいけば良いのだと、改めて強く思うことができました。
多くの人に助けられ、生かされているこの命を、徹底して前向きに使おうと思わせてくれた一冊です。
 
 

まとめ

長くなりましたが、まとめると以下のようなところになりそうです。
 
・1秒前も、それは既にあなたの歴史である。
 
・歴史にたらればはないので、「たられば改善」を意識しよう。
「たられば」は、課題を発見している兆しである。
 
・どんな挑戦をしても、現代なら、その失敗では死なない。
失敗はむしろ歓迎し、前を向いて挑戦を繰り返すことで、成長ループに入る。
 
 
私の中で、なにか経営に迷いがあると読み返す坂の上の雲は、バイブル化しつつあるのですが、永遠の0(ゼロ)も多くの折り目がつき、たくさんの学びや気づきを与えてくれました!
 
教えてくれたWada氏に心から感謝です、ありがとう。
そして、皆様にもお勧めしたい一冊です。
 
 

永遠の0 (講談社文庫)
永遠の0 (講談社文庫)

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講談社
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